【碁盤・将棋盤】本榧と新榧の見分け方
中古の盤を入手した際、盤の材料がはっきりわからないことがあります。
「本榧だと嬉しいけど、新榧との見分け方を知りたい」
「自分は使わないから、売る時に材をはっきりしたい」
という方に、見分け方のポイントをお教えします。
ポイント1. 木目の違い
盤の側面4面のうち、年輪が見える面を「木口」と言います。
木口の木目は、材によって見分けやすいポイントになります。
新榧
- 年輪の幅:広いものも細かいものもある
- 年輪の向き:縦縞(柾目)
- 木目:均等でくっきりしている
木目が均等にそろっているのが新榧の特徴です。
幅は同じ新榧と思えない程、緻密なものから粗いものまであります。
また、新榧の盤はほぼ柾目になります。
理由について、より詳しい内容はこちら↓↓↓
本榧
- 年輪の幅:広いものも細かいものもある
- 年輪の向き:様々あり
- 木目:複雑なものが多い
木目が複雑に模様を作っているのが本榧の魅力の一つです。
上等な盤ほど均等な柾目であることが多いですが、よく見ると木目に揺れがあると思います。
日本産本榧の中には、木目が粗いものもあり、新榧と似た風合いのものもあるので注意が必要です。
本桂
- 年輪の幅:比較的細かい
- 年輪の向き:半円状(板目)
- 木目:比較的均等ではっきりしていない
桂の盤はほぼ板目です。
柾目をとるには相当な太さの幹である必要があり、桂の木では難しいからです。
特に50~60年前くらいの古い盤が出てきた場合は、本榧か桂である可能性が高いので、木目がはっきりしなかったり年輪の中心が天面側にくるような盤は桂かもしれません。
それ以上昔のものは、そもそも盤材にこだわりがなく、ケヤキや杉など様々なもので作られています。
ポイント2. 色味の違い
左から新榧・桂・本榧です。
新品だと分かりやすいのが色味の違いです。
新榧は白っぽい材で、より榧に似せるために黄色く着色したものもあります。
桂は茶褐色~グレーがかっています。
本榧は淡黄色~山吹色で、艶があるのが特徴。
「赤味」と言われる、色の濃い部分が模様のよう入るものもあります。
一方で日本産本榧の中には、新榧と似た白っぽいものもあります。
これが使い込まれると、保存状態によってかなり個体差がでてきます。
一般的には、新榧はグレーがかってきます。(黄色味はない)
桂は、自身の成分でより濃い灰褐色になります。
本榧はいわゆる「飴色」、はちみつのようなこっくりとした色のものが最高の状態ですね。
本榧は油分が多いので、丁寧にご使用いただいているといつまでもつやつやです。
ポイント3. 香りの違い
本榧が他の材と大きく違うのが香気になります。
新しい本榧盤は、それはそれはいい香りがします。
初めて当店のショールームに訪れた時、お香がたかれていると思いました。
そんな上品な香りがするのは、本榧ならではです。
しかし、残念ながら永く使われた盤は香りが飛んでしまいます。
もし脚付盤で脚がゆるんでいるようなら、一度外してみてください。
職人さんによりますが、大体が脚に「ホゾ」と呼ばれる突起を作り、盤の「ホゾ穴」にはめ込む形で脚を取り付けます。
このホゾ穴をわずかに削り出すと香りがわかります。
ただし、無理をして脚を外すと、脚を傷めたり盤にヒビが入る可能性があるので気をつけてください。
一番安全なのは、面直しすることです。
当店の全面直しは、カンナで表面を薄く削り、マス目を漆で仕上げています。
そうすると新品同様になり、本榧盤でしたら香りも復活しますよ。
蛇足ですが、先日大変使い込まれたイチョウの盤を請け負いました。
イチョウも本榧と並ぶほど人気のあった盤材です。
だいぶ古いものでしたが、強烈な銀杏臭は残っていました。
まとめ
今回は、本榧と他の材の違いについてまとめてみました。
ご参考になれば幸いです。
「おそらく本榧だと思うけど、やはり自信がない」という場合は、是非面直ししてみてください。
新品同様の美しさになり、材料もプロの目で判断することができますよ!