【碁盤・将棋盤】ハギ盤のメリット・デメリット
『ハギ盤』にどのようなイメージをお持ちでしょうか。
「1枚板でできたものの方が良いもの」
「ハギ盤はその下のランクのもの」
と思われる方が多いかと思います。
しかし、実は価格以外の理由でハギ盤をお勧めすることもあります。
今回は、ハギ盤のメリット・デメリットについてまとめました。
ハギ盤の作り方 端材を貼り合わせる
職人は、良い材を厚盤サイズでとります。
その成形の段階で切り落とされた部分を集めたのがハギ盤になります。
ですので、原材料としては高級厚盤と変わりません。
そして、なるべく木目と色味が近いものを選んで接着剤ではり合わせます。
ハギ盤の「ハギ」とは「つなぎ合わせる」という意味です。
2~5枚程で1枚の盤にすることが多いですね。
熟練の職人はつなぎあわせる時点で完成形を意識して作っています。
天面から見ると、継ぎ目が丁度目地になってハギ盤とわからないものもあります。
木目と色味をぴったり合わせるのは難しい為、ハギ目が目立つものもあります。
ハギ盤 3つのメリット
ではいよいよ、メリットを見ていきます!
メリット① 反りにくい
薄い盤はどうしても反りやすいです。
それは、木材が収縮する方向が決まっているためです。
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ハギ盤になると、材のそれぞれの収縮する方向が一定でなく、幅が短い為反りにくくなります。
また、材をはぎ合わせる際の接着剤もかなり強度があり、反りにくくなるのに一役買っています。
メリット② 一枚物の卓上盤がなかなかない
これは、「当店の場合」のお話ですが・・・。
【ハギ盤の作り方】でも触れましたが、材料からできるだけ厚盤サイズをとれるよう工夫します。
卓上盤は「厚盤になりきれない」材から作られるのです。
積極的に一枚物の卓上盤を作らないため、ハギ盤の方が多いという背景があります。
メリット③ 安い!
21年10月現在で当店で扱っている卓上碁盤2寸を比較すると、ハギ盤は約60,000円、一枚物で約165,000円と倍以上の差があります。
また、貴重な日本産本榧でもハギ盤なら比較的入荷されやすいです。
ハギ盤の3つのデメリット
メリット尽くしのようなハギ盤ですが、次はデメリットも見ていきます。
デメリット① ものによってはハギ目が気になる
職人がなるべく木目・色味が揃って見栄えが良いように製作しますが、うまく“はまる”ものばかりではありません。
中には天面に板目と柾目が混在するものや、色味の違うものがはぎ合されるものもあります。
天面から見るときれいにはいだ盤でも、木口から見るとハギ盤だというのは一目瞭然。
美しい柾目一枚物の圧倒的高級感には及びません。
デメリット② 年月が経つと段差ができることがある
盤は完成してからも少しずつ乾燥していきます。
乾燥することで収縮していきますが、隣り合う材の収縮率が違うと段差になってしまうことがあります。
特に板目と柾目が混在していると出やすい傾向にあります。
もし気になるほどの段差ができてしまった場合は、天面直しをすることも可能ですが、費用がかかってしまいます。
デメリット③ 安い=安物?
実用的なハギ盤ですが、「そんな安物を使っているの?」と思われる方も一定数いらっしゃいます。
まとめ
ハギ盤がおすすめの方
- 薄い盤をお探しの方
- 実用としてなるべく安価なものをお探しの方
一枚物がおすすめの方
- 一枚物にこだわりがある方
- 細やかなメンテナンスがお好きな方
いかがでしょうか。
いままで一枚物が良いと思ってたけど、ハギ盤も視野に入れてみようかな?と少しでも思って頂けたら幸いです。
また、当店ではハギ盤にもすべて管理番号を付けて1点物として掲載しております。
ハギ目のことなど、気になる点がございましたらお気軽にお問い合わせくださいね。