将棋駒の最高級品、本黄楊(ほんつげ)。
まさに一生ものと言える高級駒は、ほぼすべてが本黄楊で作られており、100万円を超えるものもあります。
「本黄楊」は日本産の黄楊のことを指すことが多く、一般的に2種類あります。


  • 御蔵島黄楊(みくらしまつげ) 通称:島つげ(以下島つげ)
  • 薩摩黄楊(さつまつげ) (以下薩摩つげ)

「聞いたことはあるけど、島つげの方がなんとなく高級っぽい?」

「そもそも何が違うの?」

という疑問を、すっきり解消します。


 

1. 御蔵島・薩摩とは産地の名称

「御蔵島」「薩摩」というのは産地の名称です。
では、地図で確認してみましょう。


島つげの産地は御蔵島で、伊豆諸島にあります。
一方、薩摩つげの産地はその名の通り薩摩で、鹿児島県の西側になります。


2. なぜ島つげが高級と言われるのか 3つの理由

産地は違えど同じ本つげ。
なぜ高級と言われているのか、それには3つの理由があります。


理由1. 離島のため、運搬費がかかる

御蔵島の地理を見ると、切り立った崖はまさに断崖絶壁。
雨量が多かったり黒潮の影響で、数ヶ月運搬ができないこともあるようです。
そのためコスト面で割高になります。


理由2. 薩摩より地域が絞られる

地図で記した通り、御蔵島と薩摩地域では面積に大きな差があります。
御蔵島は約20㎢なのに対し、薩摩地域は約1,400㎢。
面積だけ見ても、島つげの方が希少価値がありそうです。


理由3. 江戸の有名駒師の影響

駒師の熊澤良尊先生のブログに面白い記事を見つけました。

江戸時代、薩摩ツゲは薩摩の禁制品だったので、江戸には素材としての薩摩ツゲが入ってこなかった。
一方、伊豆諸島からは、今の三井物産の前身の会社が、定期便でツゲを江戸に入れて、江戸(東京)の人は「ツゲ=伊豆諸島のツゲ」だという歴史的経緯があり、その歴史的経緯が、東京のツゲ櫛やハンコ、駒の世界でも、長きにわたって固定している訳です。

例えば、需要の多かった櫛やハンコの場合、小生が知っている約40年前でも、東京の櫛屋さんは、島ツゲが主力でした。
影水さんのところにも、櫛に使えない端材が櫛屋さんから流されていたと聞いています。

ところが それから10年、20年経ち、そして今では東京の櫛屋さんでも、ほぼ100セント薩摩ツゲが使われるようになっています。
櫛として薩摩ツゲの品質が良いからです。

一方、駒の方は相変わらず島ツゲが重宝されていて、東京で高級駒を造っていた龍山、影水、静山は、昔ながら島ツゲが最上の材として使ってきた歴史があり、今もそのような認識が駒の世界に脈々と残っている訳です。


引用 熊澤良尊の将棋駒三昧


東京で駒を作っていた有名駒師の方々が手に入れやすい材だったのが、島つげだったというのです。


島つげ・薩摩つげ それぞれの特徴

それぞれの特徴をまとめるとこんな感じです。

観賞向けの島つげ
  • 黄~白っぽい色合い。木目が細かくはっきりしている。
  • 薩摩つげ程密度がないため、やや軟らかい。傷がつきやすい。
  • 虎斑・赤柾などの模様が出やすい。

実用向けの薩摩つげ
  • 赤みがある。木目が粗く、島つげほどはっきりしていない。
  • 粘り気があり耐久性に優れ、傷がつきにくい。
  • 密度が高く、飴色の艶が出やすい。

ただし、材によって色味も違うので一概にはくくれません。

実際、薩摩つげでも杢のものもあれば、島つげで木目の粗いものもあるんですよね。
「どちらが優れるか」については、良尊先生の記事の続きに書かれていました。

しかし実際に駒づくりで薩摩ツゲを使って見ると、堅くて粘り強い薩摩ツゲの品質良さに気づくわけです。
だが、一般の人はそのことを知りませんし、島ツゲの見た目の模様のきれいさに惹かれるので、本質的な道具としての薩摩ツゲの良さを知らないままの思い込みといいますか、そんな傾向ですね。


引用 熊澤良尊の将棋駒三昧


プロの視点で、観賞としての島つげ、実用としての薩摩つげというのがわかりやすいご説明ですね。


まとめ

今回は、島つげと薩摩つげの違いについてまとめてみました。
商品選びのご参考になれば幸いです。
ちなみに、当店では単に「本つげ」と表示したものは薩摩つげになります。


駒の他の材などは他の記事でもご紹介しています。

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