「将棋駒を見ると、商品名がやたら長くてよくわからない」

そう思われたことはありませんか?
今回は、将棋駒の要素の1つ、駒木地についてお話していきます。



はじめに 将棋駒の4大要素について

将棋駒は大きく4つの要素でわけられます。

  1. 駒木地・・・樺、楓、本つげ(本つげの中でも島つげ、薩摩つげ)など
  2. ・・・上彫、特上彫、盛上げなど
  3. 書体・・・錦旗、水無瀬、菱湖など
  4. 作者

なぜ商品名が長くなるのか、というと、将棋駒を表現するのにはいろんな要素が絡んでくるからなのです。
この中の①駒木地②彫でグレードが分かれます。

③書体は、「この書体は高い、こちらは安い」というものではなく、「バリエーション」となります。
1つの商品で赤・青・白とカラーが選べる、そんな感覚で価格には基本的に影響しません。


そして、④作者は、存命かどうか、人気のあるなしが関係します。
皆様ご存知の影水作の駒なんかは、100万円以上の価値があったりするわけです。

古い駒だと、ここに⑤状態の良し悪しが加わります。


そんな一見複雑な駒の要素を1つずつ見ていきます。
今回は①駒木地についてです。


1. 樹種 将棋駒になる木の種類と特徴

一般的に、駒作りには堅めで粘りのある木が適していると言われています。
広く流通しているものは、次のものがあります。

アオカ

  • ウリハダカエデ
  • 白っぽく軽い
  • 安価な駒に多い

アオカについて、詳しくはこちら↓↓↓

【将棋駒】素材について 謎の「アオカ」

樺(カバ)

  • 白っぽく軽い
  • 安価な駒に多い

楓(カエデ)

  • イタヤカエデを指す。北海道から東北にかけてが産地
  • すっきりとした木目で適度な密度
  • 本つげよりは安価

斧折(オノオレ)

  • オノオレカンバを指す。主に東北が産地
  • 「斧が折れるほどの堅さ」というのが名前の由来
  • しっかりした重量と指し心地で、本つげに匹敵

黄楊(ツゲ)

  • カバノキ科。主に東北が産地
  • 黄楊の種類として、シャムつげ、薩摩つげ、島つげがある
  • 成長が遅いので木目(きめ)が大変緻密で割れにくい

中でも黄楊は最高級であるとされています。
珍しいものでは、香木で知られる白檀(ビャクダン)の駒や、木肌の黒い黒檀(コクタン)の駒もあります。
昔は象牙の駒も作られましたが、現在は日本国内では象牙・象牙製品の商業取引は原則禁止されています。


白檀の駒。桂のような暗い色合いです。



2. 産地/同じ黄楊(ツゲ)でも産地が変われば特徴が変わる

最高級とされる黄楊の中でも、産地によって特徴が異なります。

シャムツゲ

  • 東南アジアからの輸入材
  • 白っぽく木目がわかりにくい

雲南(中国)ツゲ

  • 中国からの輸入材
  • 島ツゲと似た性質がある

本ツゲ・薩摩ツゲ

  • 薩摩地方が産地
  • 木目が粗く、赤みがある
  • 堅くてねばりがあるので傷がつきにくい

本ツゲ・御蔵島ツゲ(島ツゲ)

  • 御蔵島(伊豆諸島)が産地
  • 木目が細かく白っぽい
  • 虎斑や赤柾など、美しい模様がとれる

本つげについて、詳しくはこちら↓↓↓

【将棋駒】御蔵島つげと薩摩つげ、結局何が違うの?


3. 木目 美しい模様は希少価値が高い

スタンダードな木目は縦の縞状に入る「柾目」になりますが、他にも模様のように見える木目があります。
「杢(もく)」「斑(ふ)」と呼ばれ、独特の艶による模様は観賞用としても愛されています。
主にツゲに見られ、珍しい模様はすべての駒40枚揃えるのが困難なため、高価になるのです。


虎斑(トラフ)

虎斑は虎模様のように強く斑の入った木目になります。


孔雀杢(クジャクモク)

孔雀が羽を広げたように見える杢模様になります。
この、きれいに扇型になった模様がなかなかとれず、1組揃えるのに十年以上かかることもあるとか…。

良尊先生の工房で木地を見せていただいた時の記事はこちら↓↓↓

将棋駒の現代作家・熊澤良尊先生の工房へ【2】

ちなみに、この模様が上下逆になったものが「稲妻杢(イナズマモク)」になります。
他「銀杢(ギンモク)」「赤柾(アカマサ)」など


まとめ:駒木地を見比べてみよう

駒木地をピックアップしてまとめてみましたが、いかがでしたか。
木地によって手触りも違ってきますので、ぜひ店頭でお気に入りの一品を見つけてくださいね。

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